異国に住むこと 第5回「Japan : Land of the Cute」

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Writer – ミシェル ラフェイさん / 北海道教育大学旭川校准教授

くまモンは11月に、熊本県知事の蒲島郁夫氏と一緒にアメリカに行きました。そして蒲島知事がハーバード大学で特別授業を行なったときにも、くまモンは同席しました。日本では、くまモンは2011年の“ゆるキャラグランプリ”優勝以来かなりの人気を得ています。しかしボストンの道を歩いていたら、それほどの注目はあびませんでした。アメリカ人はくまモンがきらい!?! それとも、アメリカ人はマスコットキャラクターがきらい!?!

そんなはずがない! 有名で「かわいい」キャラクターのキティちゃんとミッキーマウスは、日本でもアメリカでも愛されています。アメリカではだいぶ前から、日本の「キュート」精神が浸透していました。子どものころに文房具屋に行くとHello, Kittyメモとペンがありました。母はいまでも好きで、ときどきハローキティグッズを買ってアメリカに送ります。または、ディズニーランドに行くとミッキーマウスやドナルドダックなど、たくさんのマスコットキャラクターフレンズが歩いています。多くのアメリカ人は一緒に写真を撮って喜んでいます。

くまモンニュースを見て、日本とアメリカの「マスコットキャラクター文化」が違う!ということに気づきました。日本は“Land of the Cute”で、「キュート」をきわめています。どこへ行っても、どこを見ても「かわいい」ものがあります。しかも子どもでも、大人でも、男性でも、女性でもかわいいものを持っていたり、身につけたりします。「キュート」といえば、2004年にみうらじゅんが『ゆるキャラ図鑑』を出版し、それ以降「ゆるキャラ」は流行語になりました。旭川にもあさっぴーがいて、子どもたちと交流したり広報活動をしています。

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しかし、アメリカではミッキーマウス以外のマスコットキャラクターは「ゆるキャラ」よりも「きつキャラ」(きついキャラクター)だといえるでしょう。何が違うでのでしょう。

まず、「ゆるい」という言葉を考えてみたいと思います。日本語の「ゆるい」はあまりネガティブなニュアンスがないと思います。「ゆるい」はたぶん、前に流行っていた「癒し系」に通じるものがあります。「ゆるい」はリラックスしたもので、「ゆるキャラ」の三か条のなかで「愛すべき、ゆるさを持ち合わせていること」が要求され、やはり人を笑わせる、またはハッピーにすることが求められています。ゆるキャラの「ゆるい」は英語で “loose”と訳されることがありますが、英語で“loose”はネガティブなニュアンスが強いのです。“Loose cannon”の本来の意味は、戦艦の大砲が嵐か何かの理由で外れ、船のデッキの上で自由に動くようになってしまい、船が揺れたときなどに、人がそれにつぶされたりすることでした。人に対して言う場合の意味は、仕事が抜群にできる人だけれどコントロールできない人で、いろいろなことをめちゃくちゃにする人、たとえば、『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスの役か、『ミッション:インポッシブル』のトム・クルーズの役を想像すればわかるでしょう。もうひとつ、“loose woman”はふしだらな女性で、両方とも決してよいものではない、それどころか危ないものです。「ゆるい」を英語にするならば、“relaxed”や“laid-back” という言葉がよいのではないかと思います。

次は「マスコット」という言葉を考えてみたいと思います。「マスコット」は19世紀フランス語の “mascotte”という言葉から来ていて、“talisman”や “charm”という意味を持っています。要するに「お守り」という意味です。マスコットは幸運を持ってくるもので、アメリカでマスコットが一般に使用されているのはスポーツ関係です。どんな学校でも大学でも、プロフェッショナルスポーツチームにもマスコットがいます。わたしの小・中・高のマスコットはすべて鳥で、順番にロードランナー・ファルコン・鷲でした。マスコットを選ぶときには「ゆるさ」ではなく、敵を倒せる「早さ、強さ、怖さ」が求められます。

マスコットには動物が多く、最初のマスコットは本物の動物でした。1889年にエール大学の“Handsome Dan”というブルドッグが最初のマスコットになりました。現在もHandsome Dan XVIIは元気で、エールのスポーツチームを応援しています。しかし、本物の動物を飼うのはかなり大変でお金もかかるということで、着ぐるみが登場してきました。

アメリカのマスコットは多少日本のゆるキャラより、真剣で怖いイメージがあります。マスコット大会のサイトを見るとわかります。ここのHPを参照してください。
http://capitalonebowl.com/

わたしの地元の大学のマスコットはブロンコという馬ですが、Tシャツなどのグッズにある絵はかわいくなく、ちょっときつい顔をしています。わたしの高校のアルバムカバーの鷲もちょっと怖いです。

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着ぐるみはもうちょっとかわいいです。

ゆるいか、かわいいか、きついか、日本とアメリカのマスコットキャラクターはある意味で同じ役割があります。それは、応援! 地元の人でも企業でも学校でもスポーツチームでも、ゆるキャラとマスコットが応援してくれます。
2! 4! 6! 8! Who do we appreciate?! ゆるキャラ and mascots! Yeah!!!